フェーズ解説シリーズ第一弾は、みなさんが一番気にする【要件定義】についてです!SAPプロジェクトにおいて要求される要件定義のスキルとは?これから要件定義フェーズを自分の守備範囲にしたいと考える人、今後SAPフリーランスコンサルタントとして独立したいと考えている人、是非この記事を読んで要件定義のポイントを掴んでください。この記事のポイント要件定義はシステム導入プロジェクトの設計図としての役割を持ち、顧客の要件とシステムの機能を照らし合わせる重要なフェーズです。要件定義はソフトスキル(聞く力、話す力)とハードスキル(システム知識や業務知識)の両者を統合的に使うフェーズです。要件定義の経験が豊富だと単価が上がり、案件の選択肢の幅が広がります。SAPプロジェクトの要件定義とは?要件定義は、プロジェクトの「設計図」要件定義は海外で blueprint phase と呼ばれています。システム導入プロジェクトの「設計図」を作るフェーズであると言えるでしょう。クライアントの要件を可能な限り「もれなく、そして正確に」聞き出し、システム要件とシステム機能を照らし合わせて落とし込むことが作業になります。既に経験したことある方であればわかりますが、実はクライアントから要件を聞き出すといった「コミュニケーション力」とシステムと業務の Fit-Gap を行うための「システム知識」両方が求められるかなり高度なフェーズになるのです。そのため、要件定義の経験が豊富な人材は両方兼ね備えていると考えられ、様々な案件で重宝されます。要件定義について更に知りたい方は、詳しく解説している下記の記事をご覧ください。どのフェーズから経験すればいいの?~独立を目指す人のためのフェーズ解説~ |フリーコンサルが読むメディア|media.quickflowSAPフリーランスが要件定義に求められるスキルは?要件定義に求められるスキルとポイントを、ソフトスキルとハードスキルに分けて解説いたします。クライアントフェイシングで求められるソフトスキル① 話す力まず要件を聞き出す前に、そもそもSAPで業務を行ったらどのような変更点が生じて業務が効率化されるのか、ということを説明する必要があります。クライアントにきちんとSAPを理解してもらわないと必要な要件が出てこない、また、懸念点が明らかにされないという問題が発生する場合があります。もちろん稼働前のキーユーザートレーニングのフェーズがSAPの機能を説明するためのメインフェーズになりますが、要件定義でも概要や重要ポイントだけでもいいので理解してもらわないといけません。言葉だけだとなかなか伝わらないので、画像や実機を見せる必要があります。画像・・・スクリーンショットなどを撮っておき、ピンポイントで画面の項目などを説明したい時に利用。実機・・・トランザクションデータが実際どのように変化していくのかイメージを持たせたい時や、入力の負荷に関して見せたい場合に利用。クライアントはSAPに関して全く知識がないという前提を忘れずに、説明する際の言葉選びにも気をつけたいです。少しでも分からなさそうな表情をクライアントの方がした場合は、コンサル側から主体的にその都度確認して疑問点を解消した方が良いです。まとめて最後に質問を受けます、という形式でも悪くはないですが、その頃にはクライアントの方は疑問点自体を忘れてしまっていることが多く、なあなあに終わってしまうケースもあります。② 聞く力「システムでは業務がこうなりますよ」という説明を一通り終われば、クライアントも要件を提示してきます。いかに正確にもれなく要件を汲み取り、GAP要件がどれかを洗い出しできるか、が後続フェーズに影響します。クライアントが提示してきた要件を精査する際やGAP要件の判断をする際に、下記の基本的な点に気をつけると良いです。そもそもシステム上の処理が必要かどうか・・・システムでの作業と実作業を混同する方が稀にいます。どのような場合に発生するか・・・他のタイミングや条件でも発生することはないか確認が必要です。どれくらいの頻度で発生するか・・・件数が極度に少ない場合もあり、少ないとしてもそこにこだわりを持つ企業もあります。責任部門はどこか・・・要件を必要としている部門がSAPトランザクションを入力する部門と一致しているか(権限設定の一致)確認が必要です。代替方法はないか・・・件数が少ない例外データの場合、手打ちにすることはできないか、など、代替策について確認します。クライアント同士の会話で完結している場合でも、本当にGAP要件にならないかを確認する必要もあります。後続フェーズになって「実はGAP要件でした」ということを避けるように徹底しましょう。③ まとめる力要件定義フェーズではまとめる力も求められます。各セッションにおいて発生した要件を正確に把握できているか確認するために、クライアントの話した内容を上手くまとめ上げることが必要でしょう。また、クライアントの要件をすべて洗い出し、最終的にどれくらいのGAP要件が生じたのかをまとめる必要もあります。要件定義フェーズの終盤になると、要件について相互確認する場が発生するので、その際には図を上手く作成したりビジネスフローをフローチャート化するなどして、なるべくビジュアルに訴える可視化を目指してまとめるようにすると、クライアントにとってもわかりやすく、後々要件確認する際にも役立ちます。④ イメージする力後ほど説明する「ハードスキル」にも関わってきますが、要件定義ではクライアントの要件を上手くイメージすることが必要になります。クライアントが実現したい要件がSAPに置き換わった時にはどのようなオペレーションが必要になってくるのか、アドオンが必要な場合はどのようなプログラム設計が必要か、どのようなコンフィグ変更が必要か、それが他の領域にどう影響を与えるか、まで全て考えられないと良い要件定義はできません。そのためには、自分の領域を超えて「イメージ」できるようにし、他領域(モジュール)との接点が生じるところでは影響が生じないか他チームに確認を都度取る必要があります。自分でも他領域の知識も身につけておくと、どの過程で影響が生じやすいか予め検知できるようになり、進めやすくなります。要件を落とし込む際に求められるハードスキルハードスキルは基本的には領域×モジュール×インダストリー!この3つの軸で知識をどんどん身に付けていけば確実です。領域とモジュールカットの知識は要件定義を担当するのであれば持っていることはMUSTですが、インダストリーの知識はなくてもOKという場合が多いです。インダストリーの知識に関しては、いくつものプロジェクトを積極的に経験することが鍵になり、他のフェーズであっても身に付けることができます。① 業務プロセスの知識(領域カット)まず必要なのが業務プロセスに関する知識。業務のフローがわからないとせっかくのモジュール知識も活かせません。PPモジュールであれば生産・製造、SDであれば販売、FIであれば会計知識・・・業務プロセスの知識は、一般的な業務フローの流れがベースになります。業務フローはシステムでの業務とシステム外での業務すべてを含みます。逆に言うと、それさえ掴むことができれば、領域カットで押さえなければいけない知識は身に着いているということです。これらの領域での一般的な業務の流れは必ずわかるようにしてから、要件定義に参画しましょう。他のフェーズに参画中だとしても、業務の流れについて学べる機会はあるはずなので、クライアントの業務フローを確認したり、実機で伝票を流してみたりしてイメージを付けておくと良いです。上流フェーズに関わる領域の知識は積極的に動けば教えてもらえます。各領域において課題にあがったり要件にあがりやすい事象があるので、要件定義に初めて参画する場合は、それらが何であるかを自分なりに書き留めておくと再度要件定義する際に役立ちます。倉庫・物流周りは会社によって購買寄りの部門であったり販売と一緒にされたりと、異なることが多いです。クライアントから事前に資料を受領するはずなので、それをもとにどのようなフローにそって日々業務を行っているのか分析しましょう。一般的な業務フローと異なるところがあったら、クライアントに特に丁寧に聞くように注意が必要です。💡 中でも原価計算・管理会計(COに該当する領域)はその会社固有のこだわりやインダストリー固有の風潮があったりするので、他の領域よりはスタンダード化されているものが少なく、難易度が高めです。経験者でも新しい企業を担当する度に臨機応変に対応する力が問われます。逆にいえば、マスターすれば引く手数多になります!② システムの機能に関する知識(モジュールカット)モジュールの知識は下流フェーズでしっかり身に付け、要件定義の際に「流れ」を意識して整理しなおすと良いです。要件定義フェーズでは、クライアントフェイシングの状態で色々と質問を聞かれるため、その場で答えられるくらいの確実な知識は欲しいところです(ただし、不安な場合は一度持ち帰った方がベター)。そのモジュールの根管をなすコンフィグ設定、画面の項目、よくあるアドオン、承認フロー、権限設定、など覚えておくことはたくさんあります。大変ですが、下流フェーズに参画する段階から身に付けられるものなので、要件定義に関わりたい人は早い段階から意識した方がよいです。また、クライアントの混乱を避けるためにも、クライアントの代表的な品目をモデルにした簡単なデモをできるように事前準備をしておくと良いです。そうすることによってセッション前に忘れかけていた知識を呼び戻したり、クライアントに確認したポイントに早く気づけたりできます。💡 上記2つは必須!③ 発展:インダストリーの知識(業界カット)上記2つの軸は必須ですが、このインダストリーの軸は「できれば欲しい」軸、といったところでしょうか。より高単価を目指す、または特定の業界に特化したコンサルタントになりたい場合はこのインダストリーの軸が便利になってきます。リベート、KANBANなど業界に特有な業務プロセスも存在し、当然ながら求められるシステム機能も特殊になってきます。SAPにおけるニッチな機能も知っている必要が出てくることもあるので、そういった場合は頑張ってキャッチアップしましょう。💡 インダストリーの知識はあった方がベターですが、要件定義に必要な最低限のスキルを持っていればなくても問題ないです。SAPフリーランスが要件定義スキルを習得する3つのメリット案件の選択肢が増える 今まで設計や開発フェーズから参画していたような案件に、要件定義から参画できるようになります。要件定義ができるコンサルタントの数にたいして、要件定義の案件の数は多いと筆者は感じます。対応できるフェーズが増えるとその分案件探しも楽になります。単価が上がる 要件定義をそつなくこなせる人は相対的に少ないため、当然ながら単価は上がります。要件定義の経験が豊富な人は特に単価が高価となるでしょう。他のフェーズに対する理解が深まる 要件定義ができるようになると、下流フェーズに対する理解度が高まります。自分が今まで参画してきた下流フェーズがどのように上流工程で決まっていたのか、どのような要件決めをすると後続のフェーズで安心して進められるか、今まで下流フェーズで起きていたイシューはどのようなことに起因していたのか、といったことが一気にわかるようになります。💡 注意点:独立した後だと要件定義未経験の状態で要件定義フェーズに挑戦することは非常に難しいので、社員であるうちに経験しておくことが大切になります。要件定義は机上では身に着かないので、教育も大変です。マニュアルがあるわけでも無いので、経験でスキルを磨くしかありません。最後に要件定義は一番 “SAPコンサルらしい” というイメージがついていますが、実際、コンサルタントのソフトスキルとIT関係者としてのハードスキルの両方を存分に使うフェーズなので、強ち間違いではありません。一人では要件定義に必要なコツやスキルを身につけることは難しいので、できるだけ教育してもらえるような環境で経験を積みましょう!