フェーズ解説シリーズ第3弾は、【移行】についてです!移行はやったことがあるかないかきっぱり分かれるようなフェーズですね。経験したことない人はなかなかイメージつかめないかもしれません。初心者が経験なしに行きなりやるには少し難しいフェーズでもあります。移行フェーズとはどういうものか、また、案件で要求される移行フェーズのスキルはどういうものか、この記事で解説していきます!この記事のポイント移行はレガシーシステムから新規導入システムへとデータを引っ越しさせる作業です。移行フェーズの経験レベルは何段階かあり、移行要件定義をリードできるレベルがベストです。移行フェーズの経験が豊富だと、移行フェーズで募集している案件にすぐ参画できます。SAPプロジェクトにおける移行とは?移行とは「データの引っ越し」移行とは Migration phase であり、簡単に例えると「データの引っ越し」のことです。引っ越し先に何を持って行き何を捨てるのかをを決めて(要件定義)、引っ越しのタイミングを決め(移行計画)、荷造りし(データのマッピング・作成)、荷物を引っ越し先へと持っていく作業(データ投入)、といった一連の作業を移行フェーズで行います。切り替え前のシステムを「レガシーシステム」と呼びます。「古いシステム」のことを指す言葉です。このレガシーシステムから新しく導入するシステムへと切り替える際に、「そもそも新しいシステムをどういう初期状態にしたいか」という議論をします。「グリーンフィールドアプローチなのか、ブラウンフィールドアプローチなのか」、「どのツールを使うのか」、「何年取引実績がない仕入先を無効とするか」、「桁数的に入らないデータはどうするか」…議論すべきことはたくさんあります。これらを議論するフェーズが「移行要件定義」、移行準備段階のステップになります。さらに、受注伝票一つでもデータのあり方はレガシーシステムとSAPとでは項目も様式も異なります。対応するようにデータを作り変えてあげるプロセスが必要であり、これをデータマッピングと呼びます。定義したマッピングに沿ってデータを作成して行きます。最後にカットオーバータスクというものがあります。レガシーシステムから新システムの本番機へと切り替える一連の作業を指します。(Cutoverと英語で表記します。本番稼働を意味するGo-Liveとは別物ですので、ご注意ください。)この段階で作成したデータを投入して行きます。移行について更に知りたい方は、詳しく解説している下記の記事をご覧ください。どのフェーズから経験すればいいの?~独立を目指す人のためのフェーズ解説~ |フリーコンサルが読むメディア|media.quickflow※簡潔に説明すると「今までの取引データを全部持ってくるか」なのか、「今までの取引データは持ってこないで残高とマスタデータだけ持ってくるのか」なのか、のことです。詳しくは別途記事を用意しますので、そちらを読んでいただければと思います!SAPフリーランスが移行に求められるスキルは?移行で使うスキルは他のフェーズと比べると特殊です。要件定義で求められるようなファシリテーション能力やクライアントとのコミュニケーション力が求められる場合があります。お客さんの本番機に直接作業するため失敗は許されません。データ作成や投入の際には正確に手順を踏んで丁寧に作業することが求められますし、移行するときは大抵業務・システムにストップをかけているので、万が一イシューが起きた場合は迅速に対応する必要があります。それと同時に、マスタデータのあり方をしっかり理解していることも求められますので、SAP知識もきちんと必要になってきます。上記を踏まえると総合的なスキルが試されるフェーズなのではないか、と筆者は考えます。移行にて求められるスキルを一つ一つ解説していきます。移行では様々なスキルが必要① 移行要件定義必要なスキル: 要件定義のスキル(ファシリテーション、プレゼンテーション、業務整理能力など)移行にまつわる要件定義が「移行要件定義」です。上記でも軽く説明した通り、データ移行の作業を実際に行う前に、対象となるデータと移行の計画を立てる必要があります。これらを移行要件定義のフェーズに行ってきます。別のシステムからSAPへデータを移行するので、データの変更点などが生じ、それらが論点として上がってきます。よくある論点の例をいくつかあげます。(※筆者はロジ畑出身のため、ロジ系の論点メインになります)品目マスタの桁数ロット番号の桁数やあり方EDI連携で使う項目仕入先や得意先について、どれを移行対象とするか各モジュール毎に論点を整理し、クライアントと話し合って移行の要件を定めていくプロセスが移行要件定義となります。求められるスキルは要件定義とほぼ同じです。💡 移行の要件定義は、プロジェクト全体の要件定義よりかは分量が軽いので、移行で要件定義のリード経験を積みはじめる、という手もあります!② データのマッピング・準備必要なスキル: 各データの項目に対する理解、ドキュメンテーション力レガシーシステムのデータ項目をSAPのデータ項目へと変換します。多くの場合、エクセルで作業することが多いです。また、データを作るのみならず、マッピング方法やマッピングシート自体についてクライアントに説明しなければいけない場合が多いです。そういったとき、各項目について説明が求められたときにわかりやすく噛み砕いて説明できるようにする必要がありますし、マッピングシートも納品する場合、わかりやすい言葉で説明を入れる必要があります。そのため、各項目の理解、そしてドキュメンテーション力が一番求められます。③ データの投入・テスト必要なスキル: 作業を丁寧に・迅速にこなすスキル、問題解決能力SAPシステムへデータを投入する段階があります。これは「テスト」と「本番」の2段階に分かれています。本番で投入データや投入方法に問題がないことを確認するよう、別の環境で何度かテスト投入します。その際に障害が発生したら問題を突き止めて対処する必要があるので、単なる投入作業のみならず、エラーの原因を特定する力も求められます。万が一他のチームに関わるデータ項目に問題があると、他チームとの連携も求められます。(参照) カットオーバーの知識システムを「切り替える」という意味で「カットオーバー」という言葉が使われます。旧システムを停止し、新システムを使える状態に本番前に持ってくる一連の作業を指します。必要な作業は大体決まっており、タスク別にスケジュールと責任チームが割り当てられています。一度カットオーバーのタスクリストをよく理解し、自分の領域分でも良いので雛形を作れるようにしてみましょう。SAPフリーランスが移行スキルを習得する3つのメリット上記を読んでいただいた通り、「移行」と一括りにしても、移行準備と実際の移行タスクが存在し、各段階で求められるスキルは異なってきます。案件が見つかりやすくなる他の旧フェーズと違い、移行フェーズは経験がないとなかなかアサインされません。逆にいえば「穴場」です。移行フェーズをきちんと経験しているコンサルはそう多くはないので、移行の経験が豊富だと比較的すぐに案件が見つかります。特に移行リードに関しては、非常に需要が高く、供給が比較的少ないポジションになるので、リードできるようにスキルを身につけるとGOODです。マスタデータに対する知識が深まる移行フェーズを一通り経験すれば、新しいシステムを使い出すために最低限必要なデータや項目が何なのかがわかるようになります。 また、マスタ投入の順番はもちろん、それぞれのマスタデータを入れるための最適ツール、そして発生しやすい障害を把握できるようになります。一度経験すれば身につく移行というものは企業によって大きく異なる、ということは滅多にないです。持ってくるデータの項目や種類が多少違ったりしても、移行要件定義で決めなければならない事項、本番稼働前のカットオーバータスクやデータ投入の順番も同じです。一度しっかり経験すれば身につくものなので、経験しておく甲斐があります。 最後に移行フェーズは下流フェーズのイメージが強いため、「上流フェーズで必要となるようなスキルも使う」という事実を忘れがちです。移行をやれば上流感・下流感も、稼働前の緊張感も味わえます。未経験の方は積極的に参画して移行を勉強してみてください!