コンサルファームでいくつものプロジェクト経験を積んだコンサルタントにとって、フリーランスという働き方は有力な選択肢の一つです。一方で、会社という後ろ盾がない中での働き方は、案件選びひとつでキャリアの方向性を大きく変えてしまう可能性もあります。この記事では、コンサル出身のフリーランスが「最初の一歩」を踏み出すときの考え方や、案件選びの基準について現役のフリーランスコンサルタントがお伝えします!独立当初は自分の経歴と親和性のある案件を選ぶ結論からお話すると、まず独立当初は自分が過去経験した案件から参画することが望ましいです。まずは「パフォーマンスを安定させること」が重要独立したばかりのタイミングでは、「せっかく独立したし、まず自分がやりたいことを優先したい」と思う方も多いかもしれません。しかし、最初の段階こそ、まずは「過去の経験に近い案件」を選ぶことを推奨します。理由としては、「パフォーマンスを安定させやすい」からです。クライアントにとって、フリーランスはあくまで「即戦力」という見られ方をされます。その期待に応え、結果を残すことで次の案件・次の紹介につながっていきます。その中で、未経験の領域に参画すると、キャッチアップに時間を要したり、成果の質が不安定になりがちです。それよりも、過去のプロジェクト経験を活用できる案件であれば、立ち上がりが早く、アウトプットの質も向上しやすくなります。独立初期は「プロジェクト以外の業務負荷」も検討する必要があるまた独立初期は、意外と参画プロジェクト以外のタスクにリソースを取られます。具体的には以下の業務です。開業届の提出税務署・年金事務所とのやりとり銀行口座の開設請求書の発行オフィス・コワーキングスペースの契約 等、、、このようにプロジェクト以外の業務が発生し、精神的・時間的に負荷が増加します。だからこそ、「得意な領域」に参画し、パフォーマンスを発揮しやすくすることで、心理的余裕を保つことが重要なのです。キャリアアップ・単価アップになりそうな案件を戦略的に選ぶ独立当初は自分の得意領域からスタートすることを説明しましたが、その次に意識すべきは「中長期のキャリアアップ・単価アップにつながる案件選び」です。安定して稼働できるようになってきたら、ぜひ「単価が上がりやすい案件」や「市場価値が高まる案件」が得られる案件にチャレンジすることを推奨します。単価UPについては以下の記事でより詳しく解説しているので、ぜひ合わせてご覧ください。ここで差がつく!単価が上がるフリーコンサルの特徴と単価の上げ方を解説今後単価が上がりやすい・需要が増加しそうな領域フリーランスコンサル市場でも、継続的に高単価が支払われる案件の種類が存在します。以下は特に将来性の高い領域です。① 経営戦略・事業戦略など戦略案件経営の根幹に関わる経営戦略・事業戦略の案件は、プロジェクト単価も高く、意思決定層との接点が多い点も魅力です。特に戦略コンサルや総合系ファームの戦略部門出身の方は、参画しやすい傾向にあります。②SAPなどのITコンサル・システム案件系SAPをはじめとしたITコンサルは、特にSAP導入支援案件の人手が足らず、かなりの高単価案件となる傾向にあります。またシステム案件は上流の構想策定から、要件定義や開発支援、導入支援と1つの案件が長期化しやすいため、一度案件を獲得すると長期的に参画しやすいこともメリットです。③新規事業系多くの企業が新規事業に取り組んでいますが、企業内に必要なスキル・経験を持ち合わせている人材が乏しく、コンサルに依頼するケースが多いです。新規事業は企業内で予算が取りづらいこともあり、大手コンサル会社への依頼ができない場合があります。結果的に、価格面で優位なフリーランスコンサルに依頼されるのです。システム系ほどではないですが、新規事業の戦略・構想策定で承認が得られると、PoCフェーズに続くため、長期化しやすいのもメリットです。未経験の場合の案件獲得方法もし仮にこれらの領域が未経験の場合、「自分はこの領域の実務経験がない…」という点で不安になるかもしれません。ですが、重要なのは「過去の経験と関連性を持って語れるか」です。例えば、「事業戦略」系の案件に参画する場合、100%同様の経験が無くとも、「KPIの設定・モニタリングで数値管理をしていた」や、「プロジェクトの全体統括PMOとして、事業部全体を俯瞰して課題管理をしてきた」など、案件に関連する内容をマージし、自身のポテンシャルを伝えることが重要です。このように、過去の経験と関連付けて語ることで、説得力が増し、案件獲得の確率が上がります。単価が多少下がっても、将来への投資として考える未経験の領域にチャレンジする際は、当然ながら相場のオファー金額より若干安い単価になる場合もあります。ですが、ここで大事なのは「目先の単価」ではなく「将来の市場価値」です。例えば以下のようなパターンです。今月100万円で新しい領域に挑戦して、半年後に120万円案件の土台をつくる単価は現状維持でも、希少性の高いスキルを得て次回の交渉材料にするこのような「長期的視点」を持つことで、案件選びに戦略性が生まれ、キャリア全体の伸び代や将来獲得できる案件・金額も変わってきます。エージェントとの関係性構築も重要な要素上記に加えて、信頼できるエージェントとの関係を構築することも非常に重要なアクションとなります。特にフリーランスとして独立した直後は、自分から案件を獲得することは稀で、エージェント経由で紹介された案件に参画するケースが一般的です。「未経験だけどこういう案件にチャレンジしたい」と率直に伝えておくことで、マッチする案件を優先的に紹介してもらえたり、クライアントとの調整をスムーズに行ってもらえる可能性が高まります。そのためにも、まずはエージェントから信頼されるよう、しっかり案件で実績を積むことから始めましょう。経済面を最重視するなら、「高単価案件」か「コスパのいい掛け持ち案件」から選ぶフリーランスとして独立した以上、収入は大きなモチベーションであり、安定したキャッシュフローを確保することは人生戦略において非常に重要です。ここでは「お金を稼ぐ」ことを最優先に考えた場合の、案件選びのコツをお伝えします。基本戦略①:とにかく高単価案件に参画するもっともシンプルかつ効果的なのは、自分が獲得できる最高単価の案件にフルコミットするという方法です。例えば以下のパターンです。・月180万円/100%稼働(120%でフルコミット)このような高単価案件は、実際の業務ボリュームも大きく、稼働もハードになる傾向がありますが、その分リターンは明確です。時間的余裕よりも収入を優先したいフェーズでは、非常に合理的な選択肢です。基本戦略②:「コスパの良い案件」を組み合わせて掛け持つ一方で、「高単価=ハードな稼働」となりがちなことを避けたい場合は、「慣れた領域で稼働率を抑えて複数案件を掛け持つ」という選択肢もあります。例えば以下のパターンです。・メイン案件:月140万円/80~90%アサイン(平日や日中に稼働)=140万円・+ サブ案件:月120万円/50%アサイン(土日や深夜帯など空き時間で稼働)=60万円このように、それぞれ単価は基本戦略①に劣るものの、自分の得意領域で稼働時間を減らしながらキャッシュを最大化する、という戦略もあります。この場合、月収200万円を実現することができます。プライベートや他の挑戦を優先したいなら、「低稼働案件」から選ぶフリーランスとしての働き方の魅力のひとつは、自分の時間を柔軟にコントロールできることにあります。たとえば週2〜3日程度、あるいは1日数時間の稼働で完了する案件を選ぶことで、育児・介護との両立、趣味や遊びへの時間確保、事業の立ち上げ準備、といったライフスタイルが実現しやすくなります。⚠️よくあるパターン:「事業をやりたい」と言いつつ、気づけば“ずっとフリーランス”一方で、コンサル業界のフリーランスでよく見られるのが、「低稼働の案件と並行して、自分の事業を立ち上げようと考えている。ただ結局フリーランス案件に集中してしまい、事業が進まなかった」というパターンです。案件に入れば一定の責任感からパフォーマンスを求められるのは当然であり、報酬も安定しているためリスクのある挑戦を先送りにする、といったケースは往々にして発生しがちです。重要なのは「期限」と「目的」を明確にすることこのようなリスクを避けるためには、あらかじめ期間を決めてフリーランスにコミットすることが有効です。半年間はフル稼働でフリーランス案件に取り組み、資金を貯めるその後、半年は低稼働、もしくは一度案件に参画せず事業準備に集中するといったように、“時間”と“お金”の両方を計画的にコントロールすることで、次のステップへ進む足場をつくることができます。フリーランスの柔軟性を長期視点で活かすフリーランスは、単に「自由な働き方」ではなく、自分の人生におけるリソース配分を戦略的に設計できる選択肢でもあります。「今は自分の挑戦に時間を割きたい」「家族との時間を優先したい」などのフェーズであれば、低稼働案件を選ぶという判断も大いに推奨されます。ただしその場合でも、「何のために働くのか」「いつまでこの働き方を続けるのか」を意識することで、フリーランスという選択肢が本当に意味のあるものになります。最後に自分の軸を持って、柔軟に案件を選ぼうフリーランスとしての働き方は、自由である一方「選択の連続」です。案件選びひとつで、キャリアの方向性も、生活のリズムも、大きく変わっていきます。大事なのは、「自分が今、何を優先したいのか」という軸を持ちつつ、環境の変化に応じて戦略的に動くことです。正解は一つではありません。だからこそ、自分にとっての最適解を、ひとつずつ試しながら見つけていきましょう。