一般的に、プロジェクトの大きさはざっくりと「大規模プロジェクト」と「小規模プロジェクト」に分けられています。フリーランスSAPコンサルタントとして独立するまで、どっちを主に経験しておいた方がいいのか?と思う方もいるかもしれません。本記事では、大規模プロジェクトと小規模プロジェクトそれぞれの特徴や身に付けられるスキルを中心に説明し、フリーランスになるためのTipsを紹介していきます。サマリ大きいプロジェクトでは調整力、担当領域の細かい知見や着実に物事を進める力が求められる。小さいプロジェクトでは柔軟性、全体像を掴む力やクイックな判断力が求められる。両方きちんと経験してから独立するのがベストです!SAP大規模プロジェクトの定義大規模、小規模と言われても、具体的にどういうことなのかは特に明記されていません。どこまでが小規模でどこからが大規模かは、明確な決まりがあるわけではありませんが、筆者の経験上、「大規模」や「小規模」の定義は下記である場合が多かったです。大規模プロジェクトの定義クライアントは大手企業である場合が多く、ビジネス規模も大きい。 勿論、例外もありますが、大抵40,50人のプロジェクトとなると大企業である場合が多いです。ビジネスパターンは豊富であり、事業の種類は1種類から多岐にわたる場合もあります。50人程度もしくはそれ以上のプロジェクトであることが多い。 大体の目安として、各モジュールのチームが5~10人程度の大きさであると思います。アドオン対応が多い。(近年では削減傾向である) 大企業は特有のビジネスプロセスを持っている場合もあるため、必ずしもクライアントの業務がSAPのテンプレートにかっちり当てはまるわけではありません。その場合はアドオン対応をし、アドオンプログラムを開発(I/F含む)するか、重要なコンフィグレーションの設定を変えます。大規模なSAP導入プロジェクトでは多くの場合、その企業のための「SAPテンプレート」なるものを作り、それに沿って他の拠点の展開を図るパターンが多いです。プロジェクトとしても最初は小規模で段々人が増えていきます。大規模になってくるのは設計・開発以降のフェーズである場合が多いですが、要件定義が大変な場合はその時点で一気にメンバーが増えます。小規模プロジェクトの定義クライアントは中小企業、もしくは大手企業のSAPテンプレートを国内・海外拠点にロールアウトする場合が多い。数人〜30人程度のプロジェクトであることが多い。 1モジュールを2,3人で担当、時には1人であることもあります。クイックなSAP導入を求めているところが多く、アドオンが少ない。中小企業がクライアントの場合が多いです。また、クライアントが大企業の場合、構想策定〜要件定義の前段階フェーズのプロジェクトであることが多いです。基本的には、臨機応変な対応、守備範囲の広さ、素早く動くことが求められます。SAP大規模プロジェクトの特徴大規模プロジェクトの魅力工数管理が徹底しているので、自分の労働時間を管理しやすい 知らないうちにタスクが増えてしまっている、という状況が発生しにくいでしょう。責任範囲が明確化している学びの機会が確保されている環境 小さなプロジェクトに比べてメンバーが多く、様々な知識を持った人がいるので、総じて質問がしやすい環境である。じっくり知識と経験を習得できる 長くそのプロジェクトにいれば、ロールアウトまで経験できるため、時間をかけて全フェーズをある程度一通り経験できる。小さいプロジェクトに比べて時間的余裕がある場合が多いので、じっくり時間をかけて知識を習得できる。もちろん、中には炎上してしまう大規模プロジェクトもあり、その場合は上記の利点がなくなってしまう可能性もあります。大規模プロジェクトの難点徹底した工数管理があるため、自分のペースで働きにくい これが逆に息苦しいと感じてしまう人も少なくないでしょう。根回しなど慎重な対応が求められる 多くの人が関わっているので、上司やクライアントのキーパーソン、他チームとの根回しも必要になる場面が多々あります。自由度が低め メンバーが多いゆえ、責任範囲が明確化されています。逆に、自分の領域や許容範囲を超えたチャレンジがしにくい、とも言えるでしょう。配属の長期化 長期化することが多いため、クライアントに関する知識や情報が属人化してしまうことがある。そのため、中々リリースされない場合も生じます。なるべくそういう事態が起きないように、日々の業務中で知識を他メンバーに共有する必要があります。大規模プロジェクトで身につくスキル調整力(俗にいう、根回し)1チーム10人ほどでそれぞれのチームにマネージャーがいる、となると、事前に情報共有や交渉が必要になります。これはコンサル側のチーム間でも必要になりますし、自分のチームのクライアント側や他のチームのクライアント側とも話す必要になるケースがあります。事前に調整していくことが成功の秘訣となる場合もあるので、重要なスキルとなります。担当領域の深い知見上記でも書いている通り、時間をかけて担当領域の知識を身につけていくことができます。大規模プロジェクトでは小規模プロジェクトよりかは即戦力が求められる傾向が弱く、メンバーも多いのでその分質問もしやすいですし、成果物に関してもレビューする段階が多いので、学ぶ環境が整っていると言えるでしょう。着実に物事を進める力大規模プロジェクトではとにかく関係者が多いので、影響をなるべく最小限に止める必要が出てきます。例えば、関係者が多い分、ミーティングで話が逸れやすくなってしまう場合があります。その時を想定していかに本題に戻すことができるか、なども会議前に準備していかなければいけません。また、ビジネスパターンを一つ洗い出し忘れただけで、後続プロセスで何十人もの人に迷惑をかけてしまうことになります。そのため、クイックに立ち回るよりかは、慎重に丁寧に物事を進めていくことが求められます。筆者はこの力が足りなかったため、最初は苦労しました。SAP小規模プロジェクトの特徴ある程度のスキルが身に付き、短期間で集中的に全体像をつかみたい時には小さいプロジェクトを経験するといいでしょう。経験が浅く、且つ慎重なタイプの方は小規模プロジェクトでは苦しむ傾向があります。小規模プロジェクトの魅力若手にとって、チームリーダーポジションが任されやすい チームリーダーが初めての人にとってはプロジェクト自体の規模が小さいため、管理対象も比較的に少なく、業務がこなしやすいです。自由度が高い 主体的に自分の領域外のことにチャレンジしやすいです。短期間で全フェーズ経験できる SAP導入プロジェクトの場合、要件定義から運用保守までのフェーズを短期間で経験できる場合が多いです。大体1、2年で全部終わるようになっているはずです。経営者との距離が近い 筆者が一番感じたのは、ステークホルダーとの距離が近いことです。プロジェクトによるかもしれませんが、小規模の場合、経営陣の会話やステークホルダー同士の交渉が目の前で繰り広げられる場合もあり、それも小規模プロジェクトの一つの醍醐味だと感じました。プロジェクトがどう動いていくのか、困難に直撃した時に経営層がどのように判断するのか、などの経緯がより鮮明に見られます。小規模プロジェクトの難点自由度が高いが、その分やらなければいけないことが多い 慎重すぎると前に進まないので実行力と慎重さの匙加減が必要です。メンバーが少ないため、一人でも欠けると影響が大きい メンバーの欠員が生じれば、そのメンバーのために誰かが動かなければなりません。小規模プロジェクトで身につくスキル柔軟性(臨機応変に対応する力) 小規模プロジェクトはそもそもタイムスパンが短いものが多いです。そのため、一つのスケジュールが狂うと、可能な限り遅延を防ぐために他のタスクを巻く必要が出てきてしまいます。もしくは、スケジュール通りのタスクと並行して対応する、などしなければなりません。そういう意味で、臨機応変に対応する力(柔軟性)が最も重要であると言えるでしょう。 また、小規模プロジェクトでは関係者が少ない分、一人の影響力が大きいので状況変化が多いです。例えば、クライアントとの打ち合わせがあったとして、急遽上司が体調不良などで行けなくなってしまった場合、自分一人で対応しなければならないケースがあります。物理的にメンバーが減ってしまった際にも、臨機応変に動く必要があります。 そもそも何故柔軟性が必要になってくるのか、筆者なりに考えたところ、人数が少なくてミスが発覚されにくい、ということも原因としてあるのかもしれません。小規模プロジェクトだとタスクに対する精査する人数・される機会が少なくなってしまうので、うっかり気付かれず考慮不足がそのまま発覚されずにプロジェクトが進んでしまう、ということがあります。そうならないためにも、例え小規模プロジェクトに参画していたとしても、細かく丁寧にチェックを重ねて業務をこなしていきたいですね。俯瞰力(全体を知る・見る) 一人メンバーが欠けるとその人のためにヘルプに入らなければならなくなるので、自分の領域のみならず、他メンバーが何をしているのかある程度理解している必要があります。他のメンバーのタスク状況のみならず、担当領域の知識もあるとより良いでしょう。 また、小規模プロジェクトはとにかくペースが速いので、「今ここで○○をしたら後続の××にこういう影響が出る」ということを常に念頭に置いておく必要があります。もちろん、このような俯瞰力は大規模プロジェクトでも重要ですが、小規模プロジェクトではとにかく進みが早く後戻りする時間も予算もない場合が多いためより一層重要だと筆者は感じます。判断力 上司や知見者がいない状況でもどうしても対応をしなければいけない状況があるため、判断力が必要です。また、人数が少ない故、判断がある程度自分に委ねられる場合があります。小規模プロジェクトでは、プロジェクトリーダーやマネージャーが必ずしも自分の領域に関して細かい知識を持っているわけではないので、自分の領域のことは自分で判断できるようにしなければいけません。1チームにつき1人深い知見を持つマネージャー等が配属される大規模プロジェクトとは異なります。最後に大規模プロジェクトと小規模プロジェクトでは、それぞれ求められる能力が大きく異なります。特性も身につくスキルも全く違うため、ぜひ両方を経験してみましょう。両方の経験を通じて必要なスキルが身につけば、それは独立の大きなチャンスです。もし不安な点があれば、quickflowに登録して担当者に相談することもご検討ください。